先日浜松市長宛にお送りした
公開質問状「市民の森をなぜ守れない?」
への回答が届きました。
市長からの回答は以下の通りです。
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「市長へのご意見箱」にご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。
先日、拝見しましたメールにつきまして、
市としては以下のとおり考えております。
今後ともよろしくお願いいたします。
浜松市長 鈴木 康友
質問1について
お問い合わせの緑地については、富塚西市民の森(約80,000㎡)に
指定された地域の一部で、昨年、地権者から
自身が所有する約5,000㎡について、管理が困難である等の理由で、
市民の森を解除したいとの申し出がありましたので、
本市としまして、買い取りを検討しました。
当該緑地につきましては、進入できる管理道が狭く、
森として管理に必要な高所作業が難しい場所があることから、
今後の維持管理に莫大な費用が必要になると見込まれました。
また、斜面の勾配が急なため危険が伴い、
市民協働による保全活動の場としては利用できないものと見込まれます。
本市では、市の所有する資産を必要最小限とし、
将来への負担を極力少なくすることを基本としていますので、
これらを総合的に判断した結果、
当該緑地の買い取りをしないこととしました。
質問2について
市民の森は、所有者の方から同意をいただき、
市街地に残る貴重な「みどり」を保全いただいている制度です。
今回のご相談に際し、地権者の方々へ市民の森の趣旨を伝え、
継続して緑を保全できないかお願いしましたが、
倒木の危険性など維持管理上の不安を一刻も早く解消したい
とのご意向を伺いました。
また、当該土地は、市街化区域内にあり、
宅地化を制限することはできないため、
現在、市民の森の指定解除に向けた手続きを進めているところです。
なお、宅地開発にあたっては、佐鳴湖からの景観への配慮や、
なるべく多くの緑地を保全いただくようにお願いしています。
質問3について
このたびは、売却の申し出はありませんでしたが、
質問1でお答えしたとおり、解除の相談があった時点で、
買い取りについての検討をしました。
なお、市が当該緑地を買い取る意思がないなかで、
申し出を勧めることはできません。
質問4について
市民の森の買い取りにつきましては、
土地の形状、維持管理経費・方法、有効活用の可能性等を調査するなかで、
その時々の社会情勢、市の財政状況等も合わせて、
総合的に判断してまいります。
ご質問の市民の請願書や生態系の調査結果等につきましては、
総合的に判断する上での判断材料の一つになるものと考えます。
浜松市 都市整備部 緑政課
電話 053-457-2565
E-mail ryokuka@city.hamamatsu.shizuoka.jp
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以下が公開質問状の本文です。
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[公開質問状] 市民の森をなぜ守れない?
前略。
私はほぼ毎日佐鳴湖周遊園路を利用させていただいている中区在住の市民です。
佐鳴湖公園に隣接する中区富塚町地区で、
市民の森だった森林が宅地造成の為に昨年指定解除され、木々の伐採と
大規模な造成工事が計画されていることについての質問をさせていただきます。
2014年3月の広報はままつには「都市部のみどりを守ろう」と
市の様々な政策や方針が唱われておりますが、
景観審議会の議事録を拝見しますと、この件については指定解除の是非の検討
だけで、森を守る検討は何も為されていません。
平成27年度第1回浜松市景観審議会会議録(PDF)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/tochi/conferrence/record/documents/h270608.pdf
「浜松市緑の保全及び育成条例」には、
民有地の所有者が土地を管理しきれなくなった場合には、
「市民の森の保全及び育成のため」市による買い取りの可能性があること
が明記されています。
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第13条 2 市長は、市民の森の保全及び育成のため必要があると認めるときは、
その土地の所有者の申出に基づき、当該市民の森の土地を買い取ることができる。
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質問1:今回所有者が土地を手放す理由は「管理の大変さ」なのですから、
森林保全のためには市が土地を買い取るのが最善の策の様に思われますが、
その検討が行われなかった理由は何なのでしょうか?
質問2:市民の森として指定された原点には、佐鳴湖周辺の森林の景観、
水質浄化、生態系の維持、防災等への認識があったと存じます。
「開発業者の宅地造成」がこれらのことよりも優先され、
指定解除されたのはなぜですか?
質問3:もし所有者がこの条項を知らず、まだ申し出を行っていないとすれば、
市の方から所有者に申し出を勧めるべきだと思われますが、
なぜ勧められなかったのでしょうか?
質問4:市が買い取る為に現在不足している条件
(市民の請願書、生態系の調査etc.)が何かあるのでしょうか?
造成計画は刻々と進んでいるようですので、早急にご回答をお願いいたします。
なお、この質問状およびご回答は当方のブログとツイッター等、
インターネット上で公開させていただきます。
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<回答を読ませていただいた感想>
市としては市民の森の保全の為に労力をかけたくない姿勢のようですが、
そもそも「市民の森」に指定した理由が述べられていません。
森の大切さは市の緑政課の方なら十分理解されていると思います。
森は崖崩れや極端な増水を抑え、その作り出す地下水が佐鳴湖を潤し、
浄化する働きがあります。二酸化炭素を吸収し貴重な酸素も生み出します。
景観はあくまで二次的なものに過ぎません。
以上は人間本意のワガママな理由ですが、先住民(動植物)にとって
この森は、ヒトが足を踏み入れるずっと以前から
かけがえのない「宅地」なのです。
森は周囲の環境破壊を防ぐことで、少ない費用で正しく管理できます。
「今後の維持管理に莫大な費用が必要になると見込まれました。」
との回答でしたので、買い取りと維持管理にかかる金額の明細の公開を
請求しようと思います。
市の主権者は市役所や市長ではなく市民ですから、
森の保全を願う市民の意思をはっきりと示す事が重要だと思います。
上の回答の「質問4について」にも、
「市民の請願書や生態系の調査結果等につきましては、
総合的に判断する上での判断材料の一つになるもの」とあります。
この宅地化が実行されれば、富塚西市民の森(約80,000㎡)の
残りの75,000㎡も同じ道をたどり、
いずれ森全体が消滅してしまう可能性があります。
この開発に関しては8月に入ると色々な事が進んでしまうという話を耳にしました。
早急なアクションが必要と思われます。
市長へのお手紙の書き方はこちら。
http://sanarukogurashi.hamazo.tv/e6924589.html
どうか森が守られます様に。
写真提供:koji kishitaさん(佐鳴湖百景)